認知症状のある高齢者は意外と食費がかかる
父が施設に入所し、母が一人暮らしを始めた時の話です。
当時もう母は自炊は出来ませんでしたので、食事は自分で買いにいくかヘルパーさんにお願いしていました。
自力で買い物に行っても一番近くのコンビニで食べたいものを買うという感じなので意外と食費がかかります。
あまり大きなお金を渡して無くしたり、あっという間に使われては困ってしまいます。
なので母には2万円を月のおこづかいとしてお財布に入れてあげて、食費としてWAONに5万円(限度額いっぱい)をチャージしたものでヘルパーさんに買い物をお願いしてました。
ヘルパーさんは上手に買い物をしてくれるので、実際には月5万円分も必要ありませんでしたが一応余裕を持ってチャージしてました。
しかし母が一日に2度コンビニで買い物。おこづかいの2万円もすぐに無くなりお金が足りないと母からよく電話がかかってきてました。
自分の足で歩けるうちは買い物の制限をかけたくないという気持ちと、コンビニで買い物しないでぇ!あともう2分歩いてもうちょい先のスーパーに行って!!とも思ってました。
義理の姉に食費高くない?と言われる
父が施設に入った事により別々に生活費がかかるようになります。
- 両親の年金20万
- 父施設費用13万円
- 残り7万円が母の生活費です。
家賃(6万3千円)と共済を払ったら7万は終わりです。
残りのガス電気・電話ネット代・水道代・食費・介護費用(1割)1万6千円を合わせたら生活費はトータル14万程になります。
食費は4万~4万5千円に設定
足りない分を兄妹4人で平等に出しあっていた訳です。
もちろんExcelで収支表を作成して予算を印刷して兄妹に渡しました。
そこで兄の奥さんに言われたのが、一人なのに食費高くない?でした。
えぇ、えぇ、高いですよ。
普通の人から見たら高いでしょうよ。
値段を比較して買い物が出来て、自炊も出来て、節約という気持ちが頭に残ってるなら高いと思うでしょうね。
確かに私が独りだったら自炊して食費一日1000円もかからないで生活できるよ。
でもさぁ!
無理なんだよ。認知症のある人に節約して買い物して!なんて無理難題。
ある意味欲望のままに買い物してしまう。
はっきり言って食費4万でも足りない勢いだったし。
義理の姉の言葉は介護した事ない人の言葉だよなぁ。
認知症なんて自分の常識の範囲外にいる人だからきっと想像すら出来ないんだろうね。
宅配弁当なんて頼んだら4万どころの話じゃなくなりますよ?
歩ける認知症の人の食費は高額になりがちです。
だって買いにいけちゃうからさ・・・
いま母は施設に入り、独り暮らししていた時よりお金がかからない。
孫の為に施設に入ってくれ
こう言って私は母を説得しました。
母の乳がん発覚前に父と一緒の施設に入所出来るチャンスがありました。
その事を母に話すと、顔と手をブルブル震わせて嫌だと拒否しました。
「私はなんでもできるよ!」
「買い物もするし何だって一人で出来るよ!」
「施設なんて入りたくない!」
と大きな声を出し、わなわなブルブルと顔と手を震わせました。
私は必死に説得します「お父さんと同じ施設だよ。夫婦で入れるなんてすごい事なんだよ。ここはご飯も美味しいんだよ!見てこの写真。美味しそうでしょ?」
すると母、「あら、ほんとに美味しそうねぇ」「でも施設は嫌!」
興奮する母に説得はまた後日にする事に。
日を改めて「ここは家賃がかかってるからお金がかかるのよ」
「割引が利くから施設のほうが安いんだよね」
「今は足りない分をみんなで出し合ってるんだよ」
「みんなまだ子供が小さいでしょ?これから学費とかお金がかかるんだよ」
「こうやってお金を援助してたら私たちが苦しい」
「孫子の為に施設に行って欲しい」
「孫子を思うなら施設に入って欲しい」
母は「そうなの?」と言ってあっさりと頷きました。
孫子の為なら仕方ないと。
色んな事が分からない母だけど、孫への思いだけは忘れていなかった。
私はあの日ほど罪悪感でいっぱいになった事はない。